PRM(患者管理システム)とは?クリニックにおける活用方法とメリット

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1. はじめに

一般企業では、顧客情報を管理し、関係を最適化するためにCRM(顧客管理システム)が活用されています。
一方、医療機関ではCRMではなく、患者情報を適切に管理する「PRM(Patient Relationship Management)」が重要
です。

PRM(患者管理システム)を導入することで、患者の診療履歴・予約管理・フォローアップを効率化し、
診療の質向上や業務効率化、リピーター増加につなげることが可能です。

本記事では、PRMの基本概念、医療機関での活用方法、導入メリット、成功事例について詳しく解説します。

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2. PRM(患者管理システム)とは?

① PRMの定義

**PRM(Patient Relationship Management)**とは、患者との関係を最適化し、診療データを管理するためのシステムです。
一般企業でのCRM(顧客管理)に相当し、医療機関向けに特化した機能を備えています。

PRMを活用すると、患者の診療履歴や予約情報を一元管理でき、適切なフォローアップが可能になります。

PRMとCRMの違い(HealthIT公式)

② CRM(顧客管理システム)との違い

項目CRM(顧客管理)PRM(患者管理)
対象一般企業の顧客医療機関の患者
目的売上向上・マーケティング最適化患者管理・診療の最適化
管理情報購買履歴・商談履歴診療履歴・検査データ
活用分野EC・BtoB・サービス業クリニック・病院

3. PRMの主な機能

① 患者情報の一元管理

  • 診療履歴、検査結果、処方歴を一元管理
  • 紙カルテや分散したデータを統合し、業務効率化

② 予約・リマインダー機能

  • WEB予約・電話予約の管理
  • 診療前日のリマインダー通知(SMS・メール・LINE・WhatsApp)
  • キャンセル率の低下と予約枠の最適化

③ フォローアップ・再来院促進

  • 健康診断の案内メール・SMS送信
  • 定期検診・ワクチン接種のリマインド通知
  • 治療計画の自動フォローアップ

PRMの機能について(Medical Economics)


4. PRMの導入メリット

① 患者満足度の向上

✅ 診療履歴・予約管理の最適化で待ち時間を短縮
✅ 適切なフォローアップにより、患者の安心感を高める
✅ 電子カルテ・予約システムと連携し、スムーズな診療フローを実現

② 業務効率化

✅ 予約管理の自動化で受付業務の負担を軽減
✅ 診療記録をデジタル化し、紙カルテの管理コスト削減
✅ 患者とのやり取りを効率化し、医師・スタッフの業務を最適化

③ リピーター増加

✅ 定期検診・予防接種のリマインダーで再来院率向上
✅ オンライン診療との連携で継続的な診療を実施
✅ 患者データを活用し、パーソナライズされた医療サービスを提供

PRM導入のメリット(Forbes Health)


5. クリニックでのPRM活用事例

① 内科クリニックのPRM活用

課題:

  • 予約管理が煩雑で、キャンセルが多発
  • 健康診断・予防接種のフォローアップができていない

対策:

  • PRMを導入し、予約・リマインダー通知を自動化
  • 健康診断のリマインドメールを送信

結果:
キャンセル率が30%低下
リピーター率が20%向上

PRM活用事例(Health IT News)


6. PRM導入のポイントと注意点

① 電子カルテ・WEB予約システムとの連携

  • 電子カルテ(EMR)と統合し、診療データを一元管理
  • WEB予約システムと連携し、診察の流れをスムーズに

② 患者データのセキュリティ対策

患者情報を取り扱うPRMでは、日本の個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)や医療機関向けのセキュリティガイドラインを遵守する必要があります。
特に、医療情報の漏洩は、クリニックの信頼性を損なうリスクがあるため、厳格な管理が求められます。

1. 医療機関が遵守すべき日本の法律・ガイドライン

法令・ガイドライン概要関連リンク
医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス(令和6年12月 一部改正)患者の個人情報を適切に管理し、第三者提供には患者の同意が必要個人情報保護委員会
医療情報システムの安全管理ガイドライン 第6.0版(令和5年5月)医療機関における電子カルテ・患者情報管理のガイドライン厚生労働省公式ページ
医療分野のサイバーセキュリティ対策について医療機関向けのセキュリティ対策指針厚生労働省公式ページ

2. 患者データ保護のために実施すべき対策

患者情報を適切に管理するため、以下の対策を実施することが推奨されます。

対策具体的な方法
アクセス制御の強化患者データへのアクセスを、許可された医療従事者のみに制限
データ暗号化データベース・バックアップデータの暗号化を実施
多要素認証(MFA)の導入ID・パスワードだけでなく、ワンタイムパスワード(OTP)を使用
ログ監視と異常検知システムへのアクセスログを記録し、不正アクセスを検知
バックアップ対策定期的なデータバックアップを実施し、ランサムウェア攻撃にも対応可能に
職員のセキュリティ研修患者情報を適切に取り扱うための研修を実施

医療機関におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト(令和6年度版)(厚生労働省)


3. PRMのセキュリティ要件

PRMを導入する際は、以下のセキュリティ基準を満たしているか確認することが重要です。

SSL/TLS暗号化通信を採用しているか(HTTPS対応)
データセンターが国内にあり、厳格なセキュリティ基準を満たしているか
クラウド型の場合、SOC2・ISO27001などの国際的なセキュリティ認証を取得しているか

ISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)の概要(ISO公式)


7. まとめ

PRM(患者管理システム)は、クリニックの診療効率向上・患者満足度向上・リピート率向上に貢献します。

  1. PRMは、患者情報を一元管理し、フォローアップを自動化するシステム
  2. 予約管理・リマインダー通知の活用で、無断キャンセルを減少
  3. 電子カルテやWEB予約と連携し、診療ワークフローを最適化
  4. リピーター獲得施策を強化し、継続的な診療につなげる
  5. 日本の個人情報保護法・医療情報ガイドラインを遵守し、セキュリティ対策を徹底

メディレクターでは、クリニック向けのPRM導入サポートを提供しています。
患者管理の最適化を検討されている方は、ぜひご相談ください。

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